【授業改善】「学習者主体」の授業をめざして ~2年美術「気持ちの形・思いの色」~
【授業改善】「学習者主体」の授業をめざして ~2年美術「気持ちの形・思いの色」~
10月20日(火)、美術科の研究授業を行いました。題材は「気持ちの形・思いの色 ~イメージを形にすると~」です。うれしい、悔しい、もやもやする。言葉にしきれない心の中の感情を、粘土や針金、わたなどの素材を使って立体で表す学習です。

■ 正解のない問いに、自分なりの「納得解」を探す
美術の表現に、たった一つの正解はありません。「この気持ちを表すには、どんな形がいいのか」「この色で本当に伝わるのか」。生徒は自分の内面と向き合い、問い続けます。この授業でめざしたのは、教師が答えを示すことではありません。生徒自身が考え、選び、試し、「これが今の自分の納得解だ」と言える表現にたどり着くことです。
授業の冒頭では、抽象的な絵画や岡本太郎の《太陽の塔》などを鑑賞しました。具体的な物の形をしていなくても、形や色、量感によって作者の思いやエネルギーが伝わってくる。そのことを確かめ合い、黒板には「線・形・色・素材・抽象」という造形の視点が並びました。
■ 他者との対話が、自分の見方を広げる
本時の目標は、「新たな気づきやアドバイスをもとに、テーマをよりよく表すための工夫をしよう」です。班で制作途中の作品を見せ合い、次の三つのステップで対話しました。
①作品から作者の感情を予想する
②作者の思いを聞く
③アドバイスを伝える
自分が込めたつもりの思いが、友達には違う感情として受け取られることもあります。そのずれに気づくことが、表現を見直す大きなきっかけになります。友達の言葉に真剣に耳を傾け、「なるほど」とうなずきながら自分の作品を見つめ直す。どの班にも、そんな姿がありました。

■ 自己の内面との対話が、表現を深める
ある生徒の主題は、「ぐちゃぐちゃ・複雑」です。はっきりした理由はないのに、心がもやもやして考え込んでしまう。そんな感情を表そうとしていました。
タブレットの思考ツールには、こう書かれていました。
・形「ただの花じゃなくて、グネグネ・トゲトゲしているもの。葉っぱもぐしゃぐしゃに」
・色「ぐちゃぐちゃなマーブルにした」
・素材「針金でグニャグニャさせた」
・もっと工夫したい所「下の土台」
・試行錯誤した所「花や葉っぱの配置」
この生徒は、その気持ちを確かめるように、花びらに濃い赤や深い緑の絵の具を何度も重ねていました。造形的な要素を駆使しながら自分の内面と対話し、他者とも対話する。その往復の中で、主題も表現も少しずつ深まっていく。まさに「学びを自らデザインし、自己調整を重ねる」姿でした。
■ 振り返りを、次の学びの見通しにつなげる
授業の終わりには、一人一人が作品を写真に撮り、その画像に工夫した点や次回がんばりたい点を書き込んで、ロイロノートで提出しました。作品の変化が記録として残るので、自分の成長を実感し、次の時間の目標を自分で立てることができます。

教室には、友達の作品のよさを素直に認め、互いの表現を尊重し合う温かい雰囲気がありました。安心して自分を表現できる学級だからこそ、生徒は失敗を恐れずに挑戦し、夢中になって試行錯誤できるのだと感じました。
本校ではこれからも、生徒が自ら問いを立て、他者と関わりながら学びを深めていく「学習者主体」の授業づくりに、学校全体で取り組んでまいります。


